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最終章 別れ
凛は深夜組に復帰し、熱烈な歓迎を受けた。僚の問題など誰も憶えていないし、気にしていたRINは大喜びだった。 僕は深夜組を離れて早朝専門になっていたが、翌週も、翌々週もひめがチャットに現れない。ひめの事情を聞きたくて深夜の凛を探し回った。
(RINNG)おひさじゃんか (グラタン)(゚ー゚)(。_。)(゚-゚)(。_。)ウンウン
(RINNG)ちなみに・・・・ひめはここにいないよ (グラタン)どうしたんだ、ひめは・・
(RINNG)実家に帰ってる (グラタン)何故?
(RINNG)今度メールするよ (グラタン)待ってる・・
(RINNG)大した事でないから安心しな (グラタン)いや・・判らないと、つらいよ
(RINNG)別にグラタンが原因でないんだから(笑) (グラタン)ずっとひめを待ってた
(RINNG)まあ、明日メールでも送るからさぁ (グラタン)ごめん・・
(RINNG)いや、じゃあ、今日送るよ
(グラタン)頼む。知りたい・・すぐにでも
(RINNG)大丈夫だよ (グラタン)気になるさ、当然だろ?
(RINNG)ひめの実家の事でだよ (グラタン)でも、何故連絡くれない?
(RINNG)あわただしかったからね (グラタン)本当に?
(RINNG)うん、嘘ついてもしょーがない (グラタン)それなら仕方ないか・・
(RINNG)グラタンに話そうと思ったけどさ (グラタン)また会える可能性あるんだね・・
(RINNG)あるよ、辞めたわけでないからさ (グラタン)うーーーん、
(RINNG)うーーーーーーーん、って?早く打て! (グラタン)ひめがいないとチャットする意欲がなくなる
(RINNG)あまりさぁ、ひめにはまらないほうが・・・ (グラタン)手遅れだね
(RINNG)うん・・・お節介か (グラタン)仕方ないさ
(RINNG)結婚したらどーすんの? (グラタン)チャットの世界だよ
(RINNG)おおお、ごみん (グラタン)ここでのひめが好きなんだ。いいだろう?
(RINNG)うん、いいんだけどさぁ (グラタン)感情がなかったら・・心の触れ合いじゃない
(RINNG)まあ、今度きたらメールだしなさいと言っておくよ (グラタン)うん、それまで待つよ
(RINNG)他ではいかんの?うりとか、きゃんとか(笑) (グラタン)まったく、別
(RINNG)だははははは、じゃあ私は落ちるね (グラタン)またね(^.^)/~~~
(RINNG)さいなら
それからずっと凛のメールを待った。さすがに1週間たつと忘れているのかと思い、深夜組で凛を探し、早朝組でひめを待つ毎日が続いた。やっと凛を見つけても忙しいから今度とか言って逃げるばかりだった。
(RINNG)なんてゆう一日なんだろう・・・・・・ハァ。
(にゃあ)不幸な1日か?>RINNG (グラタン)まじ、忙しいみたいだな>RINNG
(RINNG)ううう、煙草がきれたぁぁ (グラタン)風邪だろ?我慢しろよ(笑)>RINNG
(にゃあ)風邪なのか(・_・;>RINNG
(RINNG)何をがまんするって、煙草かぁぁ (グラタン)他にあるの?>RINNG
(ゆーり)背ぇ伸びんぞぉ〜〜〜!(笑)<タバコ>RINNG
(RINNG)何が聞きたい?スケベオヤジ
(ゆーり)スケベオヤジって誰だぁ〜〜!?(笑)
(にゃあ)私ではないはず>スケベオヤジ
(グラタン)σ(・_・)?>RINNG
(ゆーり)←スケベオバハンかも?(笑) (グラタン)落ちるよ<スケベオヤジ
情けなかった。ひめの事を教えてくれない凛に腹を立てていたが、彼女からしか情報を得られないので我慢していた。わざとはぐらかしてると思いながらも、凛に対して媚びるような発言でご機嫌をとっていた。その結果がスケベオヤジという侮辱だった。 考えてみればそう思われても仕方がない。妻子持ちの中年男が若い女性を追いかけているんだ。チャット部屋の連中も僕がいない時に凛から聞いて嘲笑っていたのだろうか。前のひめの態度も、僕を嫌いになったからだろうか。 それから暫くチャット室に入る勇気がなかった。
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#RINNG 題名:この前はごめん RINNG
どもども、グラタンお元気ぃ?この前は変な発言してごめんね。
そいから・・・・・言いにくいんだけど・・・・・・・「ひめ」なんだけどさぁ・・・・・。 あの娘ね工房辞めたんだ。なんでかって言うとね・・・・・・あの娘の事情がありましてね、実家に戻ったんよ。10月7日に正式に辞めたんだ。
こちらに来る時間が取れないというんで私が出向いて話まとめてきました。まあ、工房としても事情が事情なだけにね、、反対できなかったです、はい。 その事情といってもね、おめでたい事情でして・・・・。 まあ、何と言うか、結婚です。 ほら、前に事件があったでしょ、その時にね、あの娘の前の彼がすごく力になってくれてたんよ、前の彼もあの娘の事忘れられなくてね。私に相談かけてきてたからさぁ。 まあそんなこんなで・・・・・急展開。。。
まあ、おめでたい話なんでさ!お祝いですよ!ハハハハあの娘私より早く嫁ぐなんてね!生意気だぁぁ! でもあの娘にはそれが一番いいと思うしねぇ、こんなヤクザな世界で生きる娘じゃないからさ。。。絵は楽しみで描いていくってさ! グラタンによろしくってさ、なんか最後に話した時後味が悪い別れ方だったんだってね。あの娘気にしてたよ、ごめんなさいと伝えて下さいと言われました。
ちゅー事でねぇぇ。。。
凛
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メールで判ったのは、もうひめとは会えないという事実だった。ひめは前の彼氏と別れ、寂しさを紛らわす為にチャットを始めた。心を彼氏に残していたひめにとって、実生活では恋愛の対象にならない僕は安心出来る存在だった筈だ。 ひめを振った彼氏を馬鹿な男と思いながらも、ひめに好かれるなんて只者じゃないだろうと想像していた。その彼が戻ってくればひめの選択は決まっている。喜んでひめの結婚を祝福する。ただ、淋しかった。
僕のチャット恋愛には最初から出口がなかった。判っていたから、問題はどれだけ長引かせられるかだった。現実ではありえない組み合わせ、でも年齢や環境などを脱ぎ捨てて心で接するチャットなら構わないと思った。ヴァーチャルでも、僕にとって本当の恋だったから。
僕の怒りは凛に向いた。約束を破ってメールをくれなかった為に僕がどれほど苦しんだか。あのスケベオヤジ発言でどれだけ傷ついたか。もう少し早く教えてくれればひめに祝福のメールも送れた。 後で考えれば理不尽な八つ当たりだった。ひめと会えない虚しさの反動を盛り込んで冷たい、嫌味な絶交のメールを凛に送った。凛が読んで傷つく事などまったく気にしなかった。
冷静さを取り戻してネットに入ったのは1カ月間だった。落ち込んでいた僕は記録を消してしまい、凛のアドレスが判らない。彼女は僕を心配して言い出せなかったんだ。それなのに思いやりのないひどいメールを書いてしまった。凛にあやまりたくてチャット室を探し回った。
RINに事情を聞くと、凛は工房の決定で通信を退会したそうだ。連絡方法はもう残っていない。 僕は今でも「愚駄」のハンドルでチャットを続けている。ひめへの熱い想い、凛への苦い自責を忘れたくないから・・出会って別れたチャットは、僕にとって現実だから・・
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