| 相合橋筋にピンク系の店が多い事は知っていた。パチンコで勝って金なら少しはある。下心があって歩いていたが、呼び込みが多くて厭になり路地に抜けた。 「蝋燭、買ってくれない?」 後ろから声をかけられ、振り向くとセーラー服姿の可愛い子が蝋燭を持って立っていた。 「なんだい?君は。」 「マッチ売りの少女じゃなくて、蝋燭売りの少女、面白いでしょう?」 彼女の笑みには年齢に似合わぬ淫蕩さがあった。いや、年齢だって本当は分からない。つまり、蝋燭を買うということは・・ 「いくら?」 「3万でどう?」 「いいよ。」 「じゃ、火を点す場所に行きましょう。」 彼女は僕の腰に腕を廻して近くのホテルに案内した。 部屋で先にバスに入り、下着だけでダブルベッドに潜り込んだ。彼女もバスタオルを巻いただけの姿でベッドに腰掛ける。 「ね、幾つ?」 「10万17歳よ。」 「高校生?」 「本当は違うわ。待って、蝋燭に火をつけるから。」 彼女は蝋燭に火をつけて、置いてある灰皿の中央に立てた。体を曲げた時に形のいい胸が見える。 「この蝋燭が消えるまでが指定時間ってわけだね。追加料金はいくらだい?」 「ないわ、蝋燭が消えたら貴方は死ぬの。これはあなたの命の蝋燭よ。」 「何だって?悪い冗談はやめてくれよ。」 彼女は、哀れむように僕を見つめて笑った。 「さあ、残された時間をどうするの?私を抱いてもいいし、何をしてもいい。蝋燭が消えるまでは。」 僕は直感的に彼女の正体が判った。魔女、しかし気づいても遅い。 「助けてくれ・・死にたくない」 「遅いわ、貴方は蝋燭を買ったんですもの。さぁ、今からどうする?」 動けなかった。沈黙の中で時間が過ぎ、蝋燭は短くなる。このまま消えるのか。 「死にたくない・・」 「人はみんな死ぬのよ。残された時間に何も出来ない男なんて、どっちみち生きるなんてないわ。」 魔女は服を着て出て行った。 どうしよう、どうしよう、火を消せば蝋燭が残る。蝋燭が残れば僕は死なないのかもしれない。いや、命の火なら、この火を消してはいけないんだ。他の何かに移し変えれば・・冷や汗が滴る。体が震える。どうすればいいんだ、一体どうすれば・・ 蝋燭の火が・・・ |