法廷、検事が立ち上がり裁判長に向かう。


 「被告は17歳であり本来なら少年法の適用となりますが、残虐極まりない無差別殺人で15人を殺害しています。反省の色もなく、更生も望めません。よって、被告の年齢を考慮せず、死刑を求刑します。」

 
 裁判長、弁護士を促す。


 「被告は心神喪失で事件時に責任能力があったか疑わしいと思われます。正常な神経ならこんな動機なき殺人を実行出来る筈がありません。無罪を主張いたします。」

 裁判長は書類に目を移した。
 「精神医は異常なしと診断している。被告人は申し述べる事があるか?」


 弁護人が坐り、少年が嫌そうに立ち上がる。


 「臭かったんだよ。」
 「何だって?」
 「奴等はひどい匂いをしていた。耐えらない嫌な匂いだ。だから殺した。ここも臭い。吐き気がする。」
 「臭覚過敏性が原因だと主張するのか?」
 「俺が過敏なのか、他の連中が鈍いのかは知らねぇ。しかし、こんな体臭をしてる奴は生きている資格はない。腐った魚の匂いだ。」
 「では、法廷で誰がその匂いをしているか判るか?」
 「あんただよ!そして右側の奴。検事もそうだ。それに、傍聴席にも何人かいる。お前らの鼻は詰まっているのか?」
 「被告人は精神異常を装っているようだが、情状酌量の余地はない。少年法適用除外の特例として、被告を求刑通り死刑とする。閉廷。」

 
  裁判長室、裁判長が考え込み、頭を掻いている。
 「侮れないな、感覚というのか本能というのか・・」
 頭の表皮が綻び、鱗が覗く。