| 俺は死んだのか?漂っているのを感じる。霊魂になって・・・見えないし聞こえないが、意識は残っている。 俺は盗みに入るつもりで世田谷の住宅街にいた。幸せそうな若い夫婦とすれ違った。女は子供を抱いていた。それから・・夫婦が家に入るまで後をつけた。 夜、押し入った。泣く餓鬼の首を絞めて殺し、亭主をロープで縛って目の前で女房を犯した。その後で、確か持ってきた包丁で刺し殺した。亭主は・・時間をかけて切り刻んだな。憎悪と苦悶、目から血の涙を出してやがった。最後は痙攣を起して死にやがったが、あんないい女を独占してたんだ、当然の報いさ。 その後は・・金目の物をかき集めて外に出て、車に轢かれたんだ。 あの亭主も俺と同じように霊魂になって近くにいるかもしれないな。化けて出たくても俺も死んだのだからどうしょうもないだろう。待てよ、何か大切な事を忘れてないか? 「お前は生きていたいか?」 突然、声が聞こえた。いや、感じた。 「当たり前だ、死にたくて死んだわけじゃない。」 「永遠の命が欲しいか?」 「永遠?欲しいねぇ、くれるのか?」 「やろう。永遠も時間もここでは意味がない。自分の世界で使えばいい」 「うれしいね、そうすればまた女を抱ける」 待てよ・・永遠となると元の俺じゃないかもしれない。 まぁ、こんな所で煙をやっているよりマシか。 俺は生き返った。目の前に車がある。まるで、すべてがスローモーションのように・・身体が動かない、実際は瞬時だった死の苦痛が、今度はじっくりと俺を襲うのだ。永遠だって?もしかして俺は永遠に車に轢かれ、苦しんで死ぬのを繰り返すのか!車のライトに血の涙を浮かべた亭主の顔が浮かんでいた。 俺は死んだのか?漂っているのを感じる。霊魂になって・・見えないし聞こえないが、意識は残っている。 |