どこもに行っても家族連ればっかしだ。いくらタダ券でも遊園地で喜ぶガキじゃねぇ。
 俺とミキは飽きて帰りかけたが、工事中の張り紙がしてある迷路の建物に気がついた。当然ながら誰も並んでいない。俺達はゲートを乗り越えて潜りこんだ。


 中は暗く、外の音も遮断されるらしく静かだ。下は芝生で、壁はレンガのブロックで出来ている。
 「ケン、出れなくなったらどうすんのよ」
 暫く進んで行き止まりになり、ミキが不安そうに聞いてきた。
 「絶対出れる方法があるんだ。壁に左手を当てて進むと時間はかかるが必ず出口に着く。ま、入口に戻る可能性もあるけどな。」
 「へぇ、ケンって頭いいんだ。」
 「ゲームの常識さ。誰も来ないし、こんな所で寝るのもスリルあって面白そうだな。」
 俺は座り込んでミキを誘った。そもそもホテル代がなくて、こんな所でデートしてるんだ。ミキが反対する筈がない。
 「ケンって、やっぱりそれが目的ね。ちょっと待って、トイレ・・」
 「なんだ、色気ないな。」
 「ここに居て。すぐ戻ってくるから。」
 俺は待った。だがミキは戻ってこなかった。
 「ミキ、どうした?」
 「曲がるの、間違えたみたいなの。迷っちゃった。」
 声はすぐ近くから聞こえる。
 「そこにいろ。すぐ行くから。」
 しかし、見つけられなかった。
 「仕方ない、さっき言ったように壁に手を置いて進むんだ。」
 「わかった。ケン、怖いよぉ・・」
 前よりミキの声は遠くに聞こえた。
 歩いていて俺は下に降りているような感じがした。
 通路も狭くなっている。
 もしかしたら地下迷路に続くのか?
 ミキの名を叫んだが返事はなかった。

 「さて、出入り口は塞いだ。なんでここばかり事故が起きたのかな?」
 「遊園地が出来る前は墓場だったそうだ。祟りじゃないか?」
 「笑わせるなよ。そんな迷信、ここに来る子供たちだって怖がらないぜ」