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「白昼通り魔殺人。現行犯で田中一男(26)を逮捕。被害者は山田華子さん(22)で、二人に面識はまったくなかった。」
耐えられなかったのです、あの声に。思わず手に持っていたパソコンバッグで殴りつけてしまいました。
「衝動的にということか?いったい何が原因だ?被害者がお前を侮辱したのか?」
いえ、たとえばガラスをこすりつける音に不快感を持つ人がいますよね。
僕はその幅が広いんです。音感過敏症なんです。だから、いつもは家に閉じこもってパソコンだけを相手にしていたんですが、修理の為に、どうしても出かけなければならなくなって・・
「病気を言訳にするつもりか?それなら、何故彼女だったんだ?」
判りません。とにかく彼女の声は・・まさに鋭利な刃物だったのです。 あれほと強烈な不快感は初めてでした。僕だって、けっこう我慢できるようになったのですが、あの瞬間に聞いた音は、とても耐えられなかった・・
「彼女は耳が聞こえないんだ。」
えっ?
「だから自分の声も聞こえない。彼女は苦しそうな表情のお前を心配して思わず声をかけたんだ。大丈夫ですかって。」
そんな・・
「聞き込みによると、確かに判り難い発音だったらしい。妙に高い声だったそうだ。」
俺は何て事を・・もういやだ、死刑にしてください。
「それは裁判が決めることだ。ただ、音の少ない留置所には入れてやる。」
いっそ、僕も耳が聞こえなければ・・いや、音は脳に響くんです。
いつでも、どこでも・・永遠に・・
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