| 国会で「老人完全福祉法」が可決した。70歳になると介護施設や老人施設は無料提供となり、死ぬまでの生活が保障されるようになった。 「年寄りを大切にしよう」 「懸命に働き、国を支えてきた老人に感謝を」 「豊かな老後制度を確立する事によって若者も将来に夢がもてます」 政府のスローガンは国民の大半から支持された。何故なら、日本は高齢化が進み、人口の50%以上が60歳以上で、国会も70歳以上が過半数を占めていたから。 長期の不況は好転の兆しを見せず、失業率は悪化しているのに税金は上がる一方だった。サラリーマンで給与の約半分は年金と税金で国にとられている。老人完全福祉法で徴収されるのは4分の3近くになる計算だった。 子供も例外ではない。学生から対象にしていた年金が「生まれた時から年金加入」に変わり、子供が3人いたら破産という状況で出生率は大幅に下がっていた。 野党とのアラ探し抗争に明け暮れている政府は新しい動きに気が付いていなかった。青年連合はクーデターを起した。幹部を除けば自衛隊は若者の集団である。青年連合本部の指示で国会、放送局、県庁、市役所などが占拠され、青年連合委員長は戒厳令を宣告した。 60歳以上の選挙権剥奪、年金、優遇制度の停止。選挙権は15歳から与えられるようになった。委員長は大統領となり、絶対的権限を持つ。頭の重しを外した日本は若者の活力ある国として景気は復活し、委員長は圧倒的支持を得る。 「権力に群がった欲の塊達は、若者を犠牲にして国を駄目にした。老いぼれ達を見捨てれば国は栄える。俺達の選択は正しかった」 大統領は満足気に若い閣僚達と話す。 彼らは知らなかった。少年連合がクーデターの準備をしている事を・・ |