「ママ、パパ、あんなに鯨さんが沢山泳いでいるわ!!」
 クルーザーから身を乗り出してエリザベスははしゃいだ。
 「大きくて可愛いでしょう?鯨さんはお魚じゃなくて私たちと同じ哺乳類なのよ。とっても頭がいいのに、殺して食べようとする野蛮な国があるの」
 「ひどいわ。そんな国、なくなってしまえばいいのに」


 狂牛病から始まり、牛、鶏、豚の伝染病が世界に蔓延した。既に家畜という言葉は死語となり、肉への餓えが警察犬や競馬馬までも巻き込んでいる。ただ、上流社会は金を使って自分達の分は確保していた。


 「大丈夫よ、文明国が国際捕鯨委員会でちゃんと鯨ちゃんたちを守っているから」


 人類は餓えで滅び、海に満ち溢れた鯨が陸に上がって新しい文明を築いた。