俺は「環境改善計画書」を途中まで読んでやめた。よくもまぁ、判りにくく書けるものだ。総論賛成、各論反対で修正を重ね、実質は何も決まっていない。
考えてみれば原案は俺が上から命令されて作成したのだが、わざとぼかした部分が、もう意味不明になっている。
 「どこから手をつけましょうか?」
 読み終わった唯一の部下が恐る恐るという感じで聞いてきた。構造改革の人員整理で下がいなくなり、完全な逆ピラミッド型になっている。それでいて、勝手に決めるのは上で下の事情など考えない。
 「心配するな、何もしなくていいんだ」
 「え?」
 「俺達の仕事は出来ない理由を並べる事さ。前の担当者は環境整備で無駄な事業を真面目にやった為に自然保護派から非難された。何かをしようとすると必ず反対が出る。それを理由にやらなければいいのさ」
 「しかし・・それでは・・上が・・」
 「上も判ってる。仕方なく断念した形にしたいのさ」
 俺は計画書の最後を指差した。
 「ここなんていい例だ。僻地に開拓の名目で入植準備をして、1週間で中止になった。そんな僻地に誰も住まないのを考えずに計画したわけだ」
 「そこは整理計画になってますが・・」
 「ああ、しかし整理するのに労力もかかる。僻地なんだから放っておけばいいと思うのだが・・言い訳にここだけは手をつけてもいいかな?」
 「今はどうなってるのでしょう?」
 「さぁな、行くのも面倒だから、流星で砕いてしまうか」
 銀河系第三惑星、確かヒトとかいう猿までは進化していたと思う。
 それにしても神と天使の身分制度は構造改革の対象にならないのだろうか・・