| 智世子の部屋で、彼女は俺の為に朝から作ったという一杯のホットチョコレートに呪文のような呟きをして息を吹きかけた。 カカオの甘い香りが漂い、堪らなくなり、智世子に近づく。智世子は悪戯っぽくホットチョコレートを口に含んで唇を突き出した。抱きしめ、口移しに味わう。痺れにとろけ、後は男と女の愛の遊戯が待っていた。 智世子のホットチョコレートには媚薬か入っている。それとも彼女は魔法をかけているのか?独身貴族で美人に不自由していない俺が気紛れで抱いた地味な智世子にのめりこんだのは、理性を奪い快感をもたらすホットチョコレートのせいだ。何とか秘密を掴んで元の俺に戻らないと・・ 「ホットチョコに何を入れてる?」 俺の胸で余韻に浸っている智世子にさり気なく聞いた。 「何も・・」 「言えよ」 「本当よ。ただ、貴方への愛情を込めて一生懸命に作るの。そして、出来上がったホットチョコに、貴方が私を愛してくれますように、って祈るの」 俺は智世子を抱きしめた。どうやら逃げられないらしい。それでもいい、このホットチョコレートをずっと飲みたいから・・ |